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Department of Physics
宇宙から原子まで自然界で起こる現象について、数学という客観的な言葉で、簡単な法則として理解しようと試みるのが物理学です。重力波の直接観測、ヒッグス粒子の発見、超新星とニュートリノ天文学、物質中のディラック電子など、近年も新たな展開が見られるように、今後も多くの可能性を秘めた学問であるといえます。物理学科では、宇宙や地球(大気)、物性(物質)、原子核、および物理教育と、様々な物理学の領域を専門とする教員が揃い、理論、実験の両面から活発な研究を行っています。実力主義の伝統に立脚した教育に定評があり、物理教員の育成にも力を入れています。
物理の基幹科目、数学、物理学実験の3つをバランスよく配置したカリキュラムで、講義だけでなく演習にも重点を置いています。また、それらの力を総合的に運用する卒業研究に力を入れており、学部4年生であっても最先端の研究を行います。
物理学科は開学以来多くの理科教員を輩出しており、現在においてもその志を受け継いだ教員養成を行っています。物理(高校)や理科(中学)、数学(高校、中学)の免許を取得できるカリキュラムが構成されています。
物理学科では、大学教員が教育能力を高めるための取り組み「FD(ファカルティ・デベロップメント)」に力を入れています。その結果、講義ではなくディスカッションを行う「反転授業」や3年間にわたる学生実験など、特色ある授業が展開されています。
490名(男⼦425名/⼥⼦65名)
男子 87%/女子 13%
■必修科目 ●選択必修科目 ◆選択科目
2025年度 学修簿 卒業所要単位表
[情報通信業]宇宙技術開発、SCSK、エスユーエス、NEC航空宇宙システム、NECソリューションイノベータ、NSW、大塚商会、日本IBM、PCIソリューションズ、日立ソリューションズ、富士通、読売新聞東京本社
[教育・学習支援業、機械器具]東京都公立高等学校、私立中学校・高等学校、Orbray、ダイキン工業、トランストロン、日立製作所、ホンダ、三菱電機、三菱電機エンジニアリング
[卸売・小売業、サービス業、電子部品]キオクシア、住友商事パワー&モビリティ、日本調剤、野村総合研究所、三菱食品、ミネベアミツミ、メイテック
2022年3月~2024年3月卒業生
[専攻]物理教育、サイエンス・コミュニケーション、自然エネルギー[指導教員]川村 康文 教授 [キーワード]物理教育,自然エネルギー[テーマ例]❶物理の実験教材の開発研究 ❷サイエンス・コミュニケーション ❸自然エネルギーの実験教材の開発研究
本研究室では、物理や自然エネルギーに関する実験教材の開発研究を行っています。楽しく面白い実験を一緒に開発しませんか。学校の先生を目指す人の教材開発力向上の方法論の研究も行っています。開発した実験を、広く紹介し実際に体験してもらうというサイエンス・コミュニケーションも行っています。また、開発した実験を、テレビ番組や新聞で紹介する実践研究や、科学雑誌に掲載する実践研究も行っています。
[専攻]物理学 [指導教員]木村 智樹 准教授 [キーワード]惑星圏物理学,宇宙プラズマ物理学[テーマ例]❶太陽系の氷でできた天体内部にある海洋の進化 ❷太陽系惑星のオーロラ観測による惑星の物質・エネルギー輸送の解明 ❸系外惑星のオーロラ観測による生命居住可能性の探査
広い宇宙の中で、惑星と衛星が成す系は、生命を育む環境が発生する可能性が最も高いと考えられます。我々は、惑星−衛星系を生命環境として捉え、その構成要素である宇宙・大気・海洋・天体内部の物理過程を、実験、直接探査、遠隔観測、データ科学、理論を総動員して解明します。これにより「地球以外の天体に生命環境はあるのか?」「あるとしたらどのように発生し、維持されるのか?」という大きな問いに答えることを目指します。
[専攻]物性実験 [指導教員]徳永 英司 教授 [キーワード]ナノスケール分光,光水素発生[テーマ例]❶超解像顕微鏡・光熱分光 ❷半導体・分子結晶・分子会合体の励起子 ❸光合成、光水素発生
光と物質の相互作用を分光学的に研究しています。例えば植物が緑なのは、白色光が植物中の電子と相互作用して青と赤の光が吸収されるからです。光は情報・エネルギー・運動量・計測手段として欠かせないものですが、その利用価値を生むのは光が物質と相互作用するからで、その基本的理解が不可欠です。本研究室では光合成物質を含む人工・天然の分子やナノ結晶の光学的性質を、色を観測する=吸収スペクトルを測定するだけでなく、新しい分光法(非線形分光やナノスケール分光)を開発して解明しています。
[専攻]量子物性物理学(実験) [指導教員]坂田 英明 教授 [キーワード]低温物理,表面物理[テーマ例]❶超伝導体のトンネル分光測定 ❷超伝導体の磁束量子の観察 ❸極低温走査プローブ顕微鏡の開発
本研究室では極低温で動作する走査トンネル顕微鏡という、実空間で原子一つ一つを見たり動かしたりすることができる装置を用いて、超伝導の研究を行っています。特に銅酸化物温超伝導体や鉄系超伝導体などの新奇な超伝導を示す物質群における電子の振る舞いの理解を目指しています。
[専攻]理論物理学 [指導教員]二国 徹郎 教授 [キーワード]極低温量子気体の理論[テーマ例]❶ボース凝縮気体の超流動ダイナミクス ❷2 冷却フェルミ原子気体の超流動現象 ❸光格子中の冷却原子気体の量子相転移
レーザー冷却などの技術を用いて、ルビジウムやナトリウムなどの中性原子の集団(中性原子気体)を1μK(絶対零度よりも百万分の1度だけ高い温度)以下まで冷やすことが可能になりました。このような極低温の世界では原子は普通の粒子としてではなく、量子力学的な波として振る舞います。数百万個の原子の集団が波として振る舞うと、ボース・アインシュタイン凝縮や超流動と呼ばれる現象が起こります。本研究室ではこのような冷却原子気体が示す巨視的な量子現象を理論的に研究しています。
[専攻]物性実験 [指導教員]マーク・サッドグローブ 准教授 [キーワード]ナノ領域の輸送実験[テーマ例]❶ナノ構造を用いる光の輸送 ❷導波路上粒子の輸送
ナノスケール中の粒子輸送現象は基礎物理学ならびに日常生活に大きな影響を与えます。本研究室では、光と物質の相互作用の本質を理解し、ナノスケール中の粒子輸送現象を主に研究しています。光導波路を用いて光子、バイオ系ナノ粒子、原子の輸送を行います。基礎物理現象の理解、及び次世代技術開発も積極的に行います。
[専攻]宇宙物理学 [指導教員]松下 恭子 教授 [キーワード]X線天文学[テーマ例]❶銀河、銀河団の暗黒物質の分布と宇宙の構造形成史 ❷銀河、銀河団の重元素量と宇宙の星形成史 ❸バリオンの熱史を探る
宇宙の物質の大部分は、X線を用いてのみ観測することができます。X線観測により、われわれは、宇宙物理学の最も重要な問題である天体の形成史にまったく新しい手掛かりを得ることができます。本研究室では、物理学や統計学、天文学的知識を用いてデータからどのように結論を導くかを学び、実践します。
[専攻]量子光学、量子情報科学(実験) [指導教員]佐中 薫 准教授 [キーワード]光デバイス,光回路,光子統計[テーマ例]❶単一光子・量子もつれ光源 ❷光回路による光モード状態制御 ❸光子統計・量子干渉の実験
近年、絶対に盗聴のできない「量子暗号」や、計算機能力の飛躍的な向上を可能とする「量子コンピュータ」に結び付く量子情報科学の研究が活発になっています。本研究室では、光の粒子である光子を使って、この量子情報科学の研究に取り組みます。線形光学・非線形光学の手法を駆使して、量子的な統計性を示す光子発生源の開発や、光のモードを操作する光回路の開発、また非線形結晶や光デバイスを利用した光子の量子状態制御を目指しています。
[専攻]理論物理学 [指導教員]鈴木 克彦 准教授 [キーワード]ハドロンを中心とする素粒子・原子核物理[テーマ例]❶ハドロンのクォーク・グルーオン構造 ❷高温高密度下のクォーク物質の性質 ❸ゲージ・重力理論対応によるグルーオン力学
物質の究極の構造や宇宙を支配する物理法則を明らかにするのが本研究室の目的です。ミクロの世界を記述する理論体系を標準模型といい、物質は基本粒子であるクォーク・レプトンと相互作用を伝えるゲージ粒子により構成されています。この理論を用いて極微の現象を予言したり、非常に温度や密度が高い状態、すなわち初期宇宙や天体現象などの理解を試みます。そうした研究の中から、実験事実の背後にある新しい物理を明らかにしています。
[専攻]物性物理学(実験) [指導教員]満田 節生 教授 [キーワード]磁性物理学,中性子散乱[テーマ例]❶多重強秩序系における交差相関物性 ❷1次元量子スピン系における量子相転移現象 ❸磁気フラストレーション系の磁気相転移、ドメイン成長過程
物質内のスピン(小さな磁石)が競合して、スピンの安定配置が定まらない(スピン)フラストレーションが生じる場合には、スピンの時空相関が複雑になり多彩な磁気相転移や興味深い基底状態が生じます。このような系は、しばしばスピン以外の自由度を引き込みながら、磁場や応力といった外場に対する高い応答性を示すため、機能性物質の宝庫といえます。われわれは、スピンフラストレーションを基軸とした物質の磁気的、誘電的な性質をマクロな物性測定と相補的に、量子ビーム実験の代表格である中性子散乱により調べています。
[専攻]低温個体物理 [指導教員]]蔡 兆申 教授 [キーワード]超伝導量子回路[テーマ例]❶量子計算 ❷量子光学 ❸量子シミュレーション
本研究室では、微小なジョセフソン回路に現れる巨視的量子コヒーレンスの研究を行っています。この固体素子の超伝導巨視的量子状態を、量子コヒーレンスを保ったまま制御する事が可能です。量子コヒーレンスは量子力学の真髄であり、その研究は、新たな科学技術の可能性を秘めています。この回路はいわば人工原子であり、量子コンピュータの構成要素である量子ビットや、量子光学への応用が可能です。これらの応用も視野に入れ、研究を進めていきます。
[専攻]理論物理学 [指導教員]山本 貴博 教授 [キーワード]量子輸送現象,エネルギー変換物質,ナノ物質科学[テーマ例]❶熱電効果の量子論とナノ物質への応用 ❷ナノ空間に閉じ込められた水の新奇なミクロ構造と物性
山本研究室では、様々な物質の巨視的(マクロな)性質を理論物理学の手法や計算機シミュレーションや人工知能などを駆使して微視的(ミクロな)観点から解き明かし、各々の物質が示す多彩な物性現象の背後に隠れた普遍性や法則性を探索しています。また、これらの研究を通して得られた知見に基づき、私たちの生活をより豊かで快適なものにする新機能性材料や高性能デバイスの理論設計を行い、その実現を目指しています。