(1)ツバキ科の常緑高木または低木。本州中部以西の各地と本州中部以北の海岸付近に分布し、林の中に生える。観賞用に広く植えられる。まれに高さ一〇メートルを越す。葉は互生し、柄をもち厚く光沢がある。葉身は長さ約八センチメートルの楕円形ないし長楕円形または長卵形で先はとがり縁に細鋸歯(きょし)がある。早春、地方によっては冬、枝先に紅色の花をつけ、横または下向きに半開する。花弁は五枚あり、長さ約五センチメートルで基部は癒合している。雄しべは多数あり、下半部は癒合して筒状となり、さらに基部は花冠と癒合している。雌しべは一本で先端は三つに分かれている。果実は径約三センチメートルの球形で熟すと三裂して二〜五個の淡黒色の種子を出す。種子はオレインなどの油を含み、しぼりとって化粧用、食用、工業用にする。自生品のほか、多くの園芸品種があり、自生品をヤブツバキまたはヤマツバキと呼ぶ。園芸品種には白花・淡紅花、絞り咲き・八重咲きなどがある。自生品にもいくつかの変種がある。漢名、山茶。学名はCamellia japonica 《季・春》
*万葉集〔8C後〕二〇・四四八一「あしひきの八つ峯(を)の都婆吉(ツバキ)つらつらに見とも飽かめや植ゑてける君〈大伴家持〉」
*二十巻本和名類聚抄〔934頃〕二〇「椿 唐韻云椿〈倫反 和名豆波木〉木名也 楊氏漢語抄云海石榴〈和名上同本朝式等用之〉」
*俳諧・猿蓑〔1691〕四「うぐひすの笠おとしたる椿哉〈芭蕉〉」
*日本植物名彙〔1884〕〈松村任三〉「ツバキ 山茶」
(2)襲(かさね)の色目の名。表は蘇芳(すおう)、裏は紅または赤。五節から春まで用いる。
方言
植物。
(1)(葉が椿に似ているところから)まさき(柾)。《つばき》長野県北佐久郡485
(2)ばら(薔薇)。《つばき》山口県794
(3)はす(蓮)。《つばき》青森県三戸郡083
語源説
(1)光沢のあるさまをいう古語ツバから〔東雅〕。(2)ツヤハキ(艷葉木)の義〔古今要覧稿・名言通・言葉の根しらべ=鈴江潔子・大言海〕。(3)アツハキ(厚葉木)の義〔日本釈名・滑稽雑談所引和訓義解・日本語原学=林甕臣〕。(4)ツヨキ葉の木の義か〔和句解〕。(5)テルハキ(光葉木)の義〔言元梯〕。(6)冬柏の意の朝鮮語ツンバクからか〔語理語源=寺西五郎〕。(7)葉が変わらないところから、ツバキ(寿葉木)の義〔和語私臆鈔〕。
(1)光沢のあるさまをいう古語ツバから〔東雅〕。
(2)ツヤハキ(艷葉木)の義〔古今要覧稿・名言通・言葉の根しらべ=鈴江潔子・大言海〕。
(3)アツハキ(厚葉木)の義〔日本釈名・滑稽雑談所引和訓義解・日本語原学=林甕臣〕。
(4)ツヨキ葉の木の義か〔和句解〕。
(5)テルハキ(光葉木)の義〔言元梯〕。
(6)冬柏の意の朝鮮語ツンバクからか〔語理語源=寺西五郎〕。
(7)葉が変わらないところから、ツバキ(寿葉木)の義〔和語私臆鈔〕。
発音
ツンバキ〔南伊勢〕
[ツ]平安(バ)
上代特殊仮名遣い
ツバキ
辞書
字鏡・和名・色葉・名義・和玉・文明・明応・天正・饅頭・黒本・易林・日葡・書言・ヘボン・言海
→正式名称と詳細
表記
【椿】字鏡・和名・色葉・名義・和玉・文明・明応・天正・饅頭・黒本・易林・書言・言海
【海石榴】和名・色葉・名義・書言
【・・・】字鏡
【山茶】ヘボン
図版
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